ビューズは生活訓練として社会復帰支援を行っており、復職・再就職のサポートも行っています。
今回は、再就職支援の実績と、事例をもとに再就職支援のプロセスをご紹介します。
【ビューズの再就職支援の実績】
・ビューズ卒業生全体の約70%が復職・再就職につながり、その中の半分弱が再就職につながっている
・実数:平成27年10月~令和6度6月で、49名の方が再就職
・就労開始後から3年間半時点の就労継続率は90%
気分障害を始めとする精神障害は、その症状の重さゆえに仕事を休職したり、場合によっては離職するケースも多くあります。特に、退職するというのは自分の所属を失うということでもあるので、その決断には大きな勇気が必要です。ただ、職場のストレス主な発症要因であった場合、復職することへの不安もあり、どうすればいいのか分からなくなってしまいます。
※復職を選ぶか、再就職を選ぶかを迷う方に対し、ビューズでどのような支援を行っているかを紹介するブログはこちら。
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もし、退職を決断した場合、どのようなプロセスを経て再就職が叶うでしょうか?
代表的な事例を基にポイントを解説していきます。
事例 : 20代男性。新卒で入った1社目で気分障害を発症し、休職に至った。ビューズへの通所当時は、漠然と復職も検討していた。しかし、勤務歴が短いことで休職可能期間が半年と短く、復職は現実的に厳しいと考える反面、所属先が無くなってしまうという不安感と強い焦りを抱えていた。さらに、不眠になる、感覚が過敏になって音や光の刺激が辛く感じる等の症状が依然として続いていた。
ビューズでの支援経過①:退職の意思決定と退職後のフォロー
担当支援員と不調の原因を話し合った所、職場と連絡を取ろうとした前後に症状が出現していることに気づいた。思い返せば、仕事内容は自分に合っていなかったが、「社会人になってすぐなのに挫折するなんて自分はダメだ」と自分を責める気持ちばかりが浮かんでいた。退職に踏み切るかについてはギリギリまで悩んだが、このまま復職を選んだとしても長く仕事を続けられないと気づき、退職意思を自ら伝えることができた。その後、しばらく落ち込む日もあったが、集団プログラムで悩みを開示した所、同じように退職し、再就職を目指す仲間から勇気づけられる言葉をもらった。また、体を動かすプログラムに参加している内に、少しずつ気分が晴れてきた。特に、春と秋に実施される農業プログラムでは、家族の農業を手伝っていた経験を活かして他の利用者さんにコツを伝えることができ、誰かの役に立ってる体験が少しずつ失った自信を回復させてくれた。一方で、人との関わりに不安を強く感じていたので、ストレスで気分が落ち込むこともあった。そこで、体調が安定と共に、ビューズ内でストレスを感じた事例から自分の課題(=ストレスの元となる、自分の苦手なことや考え方の癖)を掘り下げる中間検討会という取り組みにチャレンジした。分析を通して、自分が会話に上手く入れないことを気にしすぎてしまい、交流そのものを避けがちになっていることに気づいた。さらに、ビューズの利用者さんの前で発表し共感のメッセージをもらうことで、自分のことを知ってもらうことが苦ではなくなってきた。
ビューズでの支援経過②:外部ボランティアでの自信回復
自分の課題を受け止めることで、人と関わる不安が少なくなり、もっと人と交流できるようになりたいと考えるようになった。一方で、ビューズの利用者さんはみんな優しく受け止めてくれるが、再就職することを想像するとまだ不安が残っていた。自分の気持ちを担当支援員に話した所、ビューズから一歩外に出て、実際に社会の中でボランティア活動をしてみてはどうかと勧められた。前職は仕事内容が自分に合わなかったことを踏まえ、キャリア系プログラムで振り返る機会を作った所、じっと座ってPCに向かって仕事をするよりも体を動かして働く方が性に合っていると気づいた。そこで、リサイクル業を運営しているNPO法s人でのボランティアを探し、事前に担当支援員とボランティアに参加する目的を話し合い、以下の3点を設定した。
①様々な年代の人とコミュニケーションが取れるようになる
②体を動かすことで体力づくりと質の良い睡眠をとれるようになる
③働けるイメージを作る
スタート時は担当支援員もボランティア先に同行し、担当者の方と目的を共有した上で週1日からスタートした。その後、ボランティアを続けつつ、キャリア系のプログラムで自分が在りたい未来のイメージについて具体化を進めていく中で、以前から環境問題にき興味があったことに気づき、このままボランティア先で働けないかと考えるようになった。そして、半年ほど経った頃、ボランティアに自分なりの目標を持って意欲的に頑張る姿を見ていた企業側から採用の声がかかった。提案を受けて、自分の症状や課題、再発防止策をまとめた資料も準備した。ビューズのプログラムに繰り返し参加していたので、過去の資料をまとめることでそこまで苦労せずに作ることができた。根拠と自信を持って再就労の意思を固め、自分で再就職への道を切り開けたという体験が、大きな自信となった。
ビューズでの支援経過③:自分らしい働き方との出会い
その後、ボランティアを続けることで、次のような気づきが得られた。
・コミュニケーションに不安があったが、活動してみると案外平気だということに気付いた。
・自分が座ってやる仕事より立って動く仕事の方が向いていることに気付けた。
・他の人から頼られたりや質問されたりしたときに、答えることで感謝されることがあり自己(効力・有用)感※が上がる。
※自己肯定感(「ありのままの自分を肯定する感覚」)を高めていく段階の1つで、以下のように定義される。
自己効力感:「自分はできる」と思える感覚
自己有用感:「自分は何かの役に立てている」という感覚
また、キャリア系のプログラムで自分が在りたい未来のイメージについて具体化を進めていく中で、以前から環境問題に興味があったことに気づき、このままボランティア先で働けないかと考えるようになった。そして、半年ほど経った頃、ボランティアに自分なりの目標を持つようになった。
・アイディアを出すのが得意なので、できそうなことを話し、活動の幅を大きくしている。
・リサイクル企業とのつながりの強化できている。
・チラシ作りやHP作成などで貢献している。
・障害を持った人でも働きやすいような空間になっている。
その後も継続して業務に励んでいると、意欲的に頑張る姿を見ていたNPO法人の代表理事から採用の声がかかった。支援員からの提案を受けて、自分の症状や課題、再発防止策をまとめた資料も準備した。ビューズのプログラムに繰り返し参加していたので、過去の資料をまとめることでそこまで苦労せずに作ることができた。根拠と自信を持って再就労の意思を固め、自分で再就職への道を切り開けたという体験が、大きな自信となった。
【卒業時のメッセージ】
ビューズのサービス利用期限は最大2年あるので、お金の不安等あると思う(※経済的な支援は右記ブログを参照 https://x.gd/ZFS51)
でも、自分の周りの社会資源を活用してほしい。焦らず自分のペースでやっていくと良いが、2年ずっとと考えず、1年はビューズでの活動に専念し、もう1年はビューズ兼ボランティアなどをすると自分がしたいことが見つかるかもしれません。
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いかがでしたでしょうか?今回の事例では、以下のポイントを押さえています。
・本人の得意なこと・苦手なことや価値観を振り返り、自分に合った働き方を判断するように支援したことで、退職だけでなく再就職時の意思決定につながった。
・自分の課題を掘り下げ、それを開示する体験から、等身大の自分を受け入れることで、次の行動につながった。
・ボランティアを通して課題への対処法を身に付け、自分の症状を伝えるための準備を整った。
ビューズでは、自分1人では進めることが難しいポイントを支援し、自分の在り方に基づいた「働きたい」という意思決定を尊重しています。これから再就労を目指しつつも不安を感じている方は、是非ビューズをはじめとした専門機関に相談してみてくださいね。
今休職や退職をされて焦りを抱えている方にとって、今回のブログがヒントになれば幸いです。
今後もブログにて様々な事例をご紹介していきます。