欠勤・早退・遅刻の増加
- 事例
- 最近、夫が朝起きるのが遅く、仕事に遅刻したり欠勤したりする日もある。微熱や下痢など体の調子の悪さに加え、最近は夜遅くまで起きており、何か考え込んでいる様子だ。
- 対応策
- 体の症状だけでなく精神面にも変化がみられるので、家族は不安だと思います。精神科や心療内科の受診が適切ですが、本人の抵抗感が強ければ、先に内科の受診を促し、異常がないことを確認できたら、精神科や心療内科への相談を促すという流れがいいと思います。
うつや気分障害など心の病は、当事者はもちろん、身近な存在の家族やパートナーにとっても大きな心配ごとです。「なにか自分にできることはないか」「どうやってコミュニケーションをとればいいのか」など、最初は分からないことばかりで不安になることも多いと思います。
治療をして一日も早くよくなってほしいと願いますが、症状は目に見えづらく、一進一退を繰り返しながら少しずつ回復する傾向にあるため、家族の不安や心配はつきません。
重要なのは、本人や家族だけで悩みを抱え込まないことです。どうしていいのか分からないのは当然ですし、本人や家族だけでは限界があります。本人や家族の安心のためにも、第三者のサポートを頼りましょう。
心の病には早期発見・早期対応が大切です。本人ではなかなか気づくことができない場合や、心配をかけたくないからと一人で抱え込んでしまう場合は、発病に気づくのが遅れてしまいます。そのため、一番身近にいる家族の存在は重要です。いつもと様子が違うと感じたら、医療や支援施設など、専門的な知識をもつ支援先とつながる必要があります。
家族がうつ病など心の病を患った場合、接し方に悩まれるケースはとても多いです。具体的にどのような接し方をして過ごせばいいのでしょうか。なるべく当事者に負担をかけず、家族も不安にならない接し方について、ポイントをふまえてご紹介します。
心の病を患った方がいると家族の生活にさまざまな影響があり、不安は大きくなります。その不安は「未来」を想像して生まれる感情です。しかし、当事者が辛いのはまさに「今」です。未来の心配はいったん保留にし、まずは当事者の今の状態に目を向けましょう。
当事者の多くは腫れ物扱いされることを嫌います。周囲に気をつかわせている自分を責めてしまうからです。心の病を患ったからといって別人になるわけではありません。朝起きてあいさつをする、一緒に食卓を囲むなど、身構えることなく、今まで通りの会話を大切にしてください。
心の病の急性期(症状が悪くなる期間)は努力で病気に対処することは困難で、「がんばれ」という言葉は逆効果になります。一方で回復期は自分が回復に向かっているのか不安になるため、何か行動を起こしたときには、「がんばったね」と伝えることが当事者の力になることもあります。
心の病は強い孤独感を伴います。その孤独感を軽減できるのは「自分のそばには家族がいる」と感じられることです。自分たちの関係を基に、どんな言葉、どんな行動なら本人に寄り添えるのか、本人を安心させられるのかを思い返してみましょう。
当事者の様子が心配なあまりに、家族まで落ち込んでしまうと、今度は重い空気が当事者へ跳ね返ってしまいます。当事者のために時間を使うことも大切ですが、家族が自分自身の心身の安定を優先し、自分のための時間を確保することも意識してください。
家族だけで悩みを抱え込むことなく、第三者のサポートに頼りましょう。医療、福祉、リワークプログラム、心理カウンセリングなど、状況に応じたサポートがあります。サポートを受けることで、家族には言いにくかった悩みを当事者が相談できることもあります。