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周囲/当事者の方へ

2024/08/22

大学生におけるうつ病の増加とその対策

近年、大学生におけるうつ病の増加が深刻な問題となっています。直接的な発症要因だけでなく、持続的なストレスや、自分自身に対して極端に自信が持てないなどの要因が絡み合い、大学生のメンタルヘルスに影響を与えています。この記事では、うつ病の原因や特徴、対策、予防策について詳しく解説し、大学生が直面する問題に対して多角的な視点を提供します。

若い世代におけるうつ病の増加

若い世代におけるうつ病の増加

1. 増加の背景と原因

最近の調査(2019年)によると、「心の病」の年代別割合をみると10代〜20代が増加し、初めて3割を超えたと言われています。(出典: (公財)日本生産性本部[PDFがダウンロードされます])。この増加の背景には、学業のプレッシャーや人間関係のトラブルに加え、経済的な不安、性格的な傾向が影響しています。特に、完璧主義や過度の自己批判などの性格特性がうつ病のリスクを高める要因とされています。

性格的な要因

うつ病のリスクを高める性格的な要因として、以下のようなものが挙げられます。

  • 完璧主義: 自分に対する要求が高すぎたり、理想を追求するあまり現実に合わせて柔軟に変えられないと、失敗に対する恐怖が強まり、ストレスが増加します。
  • 否定的思考パターン: 物事を常に悪い方向に考える傾向があると、精神的な負担が大きくなります。

2. 特徴と行動

大学生がうつ病にかかると、以下のような行動や特徴が見られることがあります。

  • 無気力: 学業や日常生活に対する興味を失い、活動的でなくなる。例えば、朝起きるのが難しくなり、授業を欠席しがちになることがあります。
  • 成績低下: 学業成績が急激に落ちる、授業への出席率が低下する。具体的には、課題提出が遅れたり、試験の成績が低下したりします。
  • 社会的孤立: 友人や家族との交流を避ける傾向がある。例えば、友人からの誘いを断るようになり、一人で過ごす時間が増えることがあります。連絡しても返事が遅くなったり、音信不通の状態になるケースもあります。
  • 自己批判: 自分に対して過度の自己批判や罪悪感を抱く。例えば、些細なミスでも自分を責め続け、自信を喪失することがあります。

夏休み明けの学校への不安

夏休み明けの学校への不安

多くの大学生が夏休みのような、長期間の休みが明けて学校にもどることに対する不安を感じています。この不安の原因としては、以下のような要因が挙げられます。

  • 学業の再開に対するプレッシャー: 長期間の休暇後、再び授業や課題に取り組むことへの心理的な負担があります。特に、休暇中に学業から離れていた場合、そのリズムに戻ることが難しいと感じることがあります。
  • 社会的な再適応: 夏休み中に友人やクラスメートと疎遠になってしまった場合、再び人間関係を築くことに不安を感じることがあります。特に、新学期の始まりや新しい環境に適応することは大きなストレスとなります。
  • 未解決の課題やプロジェクト: 夏休み前に残していた課題やプロジェクト(例:ゼミの研究など)が未解決のままである場合、その重荷が心理的な負担を増大させます。

これらの心理的な壁を乗り越えるためには、次のような対策が有効です。

  • 計画的なスケジュール: 夏休み中に少しずつ学業モードに戻るための計画を立てる。例えば、休暇の終盤に数時間ずつ勉強時間を設け、段階的に学業のリズムを取り戻すようにします。生活リズムが崩れている場合には、一気に戻そうとせず、少しずつ元のリズムに戻していくようにします。
  • サポートを求める: 大学のカウンセリングサービスやメンタルヘルスの専門家に相談する。専門家と話すことで、辛い気持ちを聴いてもらい、心の整理ができます。また、具体的な対処法や心のケアの方法を学ぶことができます。
  • ストレス管理: リラクゼーションや趣味の時間を確保し、ストレスを軽減する。例えば、ヨガや瞑想、趣味の活動に時間を割くことで、心身のリフレッシュを図ります。

これらの対策を実践することで、夏休み明けの学校への不安を軽減し、スムーズに学業生活に戻ることができるでしょう。特に「サポートを求める」は、他の方法では症状が改善せず、学校に通えなくなった場合にも有効な方法です。

休学か退学かの選択

うつ病に対処するために、休学や退学を検討する大学生が増えています。それぞれの選択肢についての考察は以下の通りです。

  • 休学: 学業を一時中断して治療に専念することで、心身を回復させる期間を確保することです。その間に履修予定だった単位が取得できないため、復学後に沿都合が遅れる可能性を考慮する必要がありますが、戻れる場所があるという安心感があります。
  • 退学: 学業を完全に中断し、将来的な再入学やキャリアの変更を考慮する選択肢です。とても勇気のいる選択で、そのあとの進路をどうするかという迷いは出ますが、ゼロベースで自分がどうしていきたいかをじっくり考えるチャンスになります。

まずは相談しよう

まずは相談しよう

うつ病やメンタルヘルスに関する悩みを抱えている場合、専門家に相談することが大切です。以下の3つの選択肢を考えてみましょう。

1. 医療機関

医療機関では、精神科医や心療内科医が専門的な診断と治療を行います。うつ病の症状に対して、以下のようなサポートを受けることができます。

  • 診断と治療: 精神科医が症状を診断し、適切な治療法を提案します。薬物療法や、必要に応じてカウンセラーによる認知行動療法などが行われます。
  • 継続的なフォローアップ: 定期的に通院し、症状の経過を観察しながら治療を続けます。
  • サポート: 生活習慣の改善やストレス管理に関するアドバイスを受けることができます。

2. カウンセリングサービス

カウンセリングサービスでは、専門のカウンセラーが個別の支援を提供します。カウンセリングの特徴は以下の通りです。

  • 話を聴く: 自分の気持ちや考えを話すことで、問題の整理や気持ちの整理が行えます。
  • 対処法の提案: ストレスや不安に対処するための具体的な方法やスキルを学ぶことができます。
  • サポートグループ: 他の大学生とともに参加するグループセッションもあり、共感や支援を得ることができます。

3. 生活訓練施設

生活訓練施設(復職・再就職支援センターなど)は、うつ病からの回復をサポートし、社会復帰を促進する専門の施設です。一般的に「リワーク」と称されることが多いですが、大学生で就労経験が無くても休学していれば利用することができます。生活訓練施設のサポート内容には以下のようなものがあります。

  • 社会復帰プログラム: 徐々に社会復帰するためのプログラムが提供されます。段階的なトレーニングや職場復帰の準備を行います。
  • 個別支援: 専門のスタッフによる個別の面談が行われます。
  • スキルアップ: ストレスマネジメントやコミュニケーションスキルの向上を目指したセッションが用意されています。

相談の重要性

うつ病やメンタルヘルスの問題を一人、あるいは家族だけで抱え込むのは大変です。専門家に相談することで、適切なサポートを受けることができ、症状の改善に繋がります。まずは、自分に合った専門家に相談し、具体的な支援を受けることから始めましょう。どの選択肢も、回復の一歩を踏み出すための大切な手助けになります。

ビューズに通所していた大学生の体験談

ビューズに通所していた大学生の体験談

以下は、ビューズに通所していた大学生の体験談です。実際の体験を通じて、支援がどのように役立つのかを紹介します。

Aさんのプロフィール
20代/男性
診断名:うつ病
ビューズ利用期間:9か月

Q1: どのようなきっかけでビューズに通い始めましたか?
A:通院先の病院の主治医から、復学を見越して外での活動を強く勧められ、ビューズを紹介されて知った。

Q2: ビューズでのサポートはどのように役立ちましたか?
A: ビューズのメンバーさんと関わる中で、問題や課題を抱え、自分と葛藤しながら日々を生きているのは自分だけではないと本当の意味で実感できた。また、辛い時でも自分の状態を客観視し自分を冷静に把握する重要性を認識できた。加えて、自分の好きなことや得意なこと、課題や苦手なことをよりはっきりと理解でき、苦手を自分なりに克服する方法を考えて実践できるようになった。結果、自分の個性や気持ちを表現することに抵抗をあまり感じなくなった。

Q3: 休学や退学についてどのように決断しましたか?
A: 最初は周りの意見や世間の評価を気にして進路を決められずいたが、自分の個性や気持ちを表現しても良いと思えるようになったため、「自分がどうしたいか?」を考えることができた。結果、大学で自分が学びたかったことを思い出し、今所属しているゼミに戻れば実現できると考え、復学を決断した。

Q4: 学業や生活にどのような変化がありましたか?
A: 自分の状態を客観視できるようになったので、自分では解決が難しいと感じたら、誰かに相談する習慣ができたので、授業の組み方やペース配分についても周囲の人や学生相談室のカウンセラーに相談することができるようになった。

Q5: ビューズでの体験を通じて、どのようなアドバイスを他の大学生に伝えたいですか?
A: ビューズでの活動を通して、いろんな出逢いや人生の学びがあると思います。ビューズで学んだこと、得たことを忘れずに、まずは自分らしく人生を歩んでいってほしいと思います。ビューズのその先に復学という1つの目的(ゴール)があるならば、それに向かって、今できることを、できる範囲でコツコツとやっていければ十分だと私は思います。
病気になったから、失ったものもあるかもしれませんが、逆に得るものもあったと思いますので、希望をもって進路を決めて歩んでいってほしいと思います。困った時や行き詰まったときはスタッフさんを頼りながら、視野を広げて、乗り越えていってほしいと思います。

予防策とその他の対策

予防策とその他の対策

うつ病の対策だけでなく、予防策についても考慮することが重要です。大学生では問題が無かったとしても、社会に出た際に発症することもあり得る事だからです。以下は実践的な予防策です。

  • ストレスマネジメント: ストレスを管理するためのスキルを学べるワークショップやセミナーに参加する。例えば、リラクゼーション技法やタイムマネジメントの方法を学ぶことが役立ちます。
  • 心の健康教育: 心の健康に関する教育プログラムに参加し、自己ケアの方法を学ぶ。大学や地域のコミュニティセンターで提供されるプログラムをチェックするのも良いでしょう。
  • セルフチェックリスト: 以下のセルフチェックリストで、自分の状態を確認してみましょう。
    • 最近、無気力や興味の喪失を感じることが多いか?
    • 睡眠の質が低下していると感じるか?
    • 社会的な交流を避ける傾向があるか?

具体的な行動の提案

心の健康を維持するために、厚生労働省が推奨する具体的な方法を日常生活に取り入れてみましょう。これらの習慣は、ストレスの軽減やメンタルヘルスの向上に役立ちます。

  • 規則正しい生活リズム: 睡眠や食事、活動のバランスを整えることで、心と体のリズムが整い、ストレスに強くなります。毎日決まった時間に寝起きし、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。
  • 身体活動の増加: 適度な運動は、心の健康にも良い影響を与えます。例えば、軽いウォーキングや体操など、無理なく続けられる運動を習慣にすることで、ストレスの解消や気分の向上が期待できます。
  • 社会的なつながりを大切にする: 家族や友人、地域とのコミュニケーションは、精神的な支えとなります。人との交流を積極的に持つことで、孤立感が軽減され、心の安定が保たれます。
  • 自分の気持ちに気づき、ケアする: 自分の感情や気持ちを意識し、必要に応じてリフレッシュや休息を取ることが重要です。ストレスを感じたときは、深呼吸やリラクゼーション法を取り入れることで、心を落ち着かせる効果が期待できます。

これらの習慣を実践することで、心の健康を維持し、ストレスに強い生活を送ることができます。
出典: 厚生労働省「休養・こころの健康」

まとめ

大学生におけるうつ病の増加は深刻な問題ですが、適切な対策と予防策を講じることで、改善の可能性があります。ビューズでは、大学生が直面するメンタルヘルスの問題に対して専門的なサポートを提供しています。問題に直面している場合は、一人で悩まず、ぜひ相談してみてください。

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