はじめに

ビューズでは、月に数回ダイアログというプログラムを行っています。

ダイアログは日本語に直すと対話という意味で、対話を通して他の人の意見を聞き、自分の考えの幅を広げたり、視野を広げたりすることを目指します。

実際にやることはテーマトークで、日頃の利用者の皆様の様子や悩み事を拾い、テーマを設定しています。

最近の様子として、体調不良者が増えていると感じます。風邪はもちろんのこと、インフルエンザや新型コロナなどの感染症も流行ってきており、自分自身で自衛することが大切です。

寒さとうつの関係性

12月に入り、すっかり寒くなりました。今年は暖冬と言われていますが、それでも夜の冷え込みは厳しいものあります。

寒い季節には、気分が沈んでしまいがちで、うつっぽい感じがすることがありますね。これは季節性の影響もあるかもしれません。季節によって日照時間や気温が変わることで、私たちの体内のホルモンバランスも変わり、気分や体力に影響を与えます。春や夏のように暖かくて日照時間が長い季節には、体内で「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンが増え、気分が明るくなります。セロトニンは多く分泌されると気分が上がり、逆に少ないと気分が下がることがあります。太陽の光を浴びることでセロトニンの生成が促進され、特に朝の明るい光は体内時計をリセットし、昼間の目覚めや注意力を高め、夜にはメラトニン（眠りを促すホルモン）を分泌して良質な睡眠をとるのを助けます。これによって体内時計が整い、生活リズムが安定しやすくなります。

しかし、秋や冬のように、寒くて日照時間が短い季節には、うつ症状が悪化する可能性があります。冬季に現れる季節性情動障害（SAD）は、冬の寒さや日照不足で気分が沈みがちになり、元気がなくなる心の状態で、春になると改善されることがあります。SADは、日照時間の減少に伴いセロトニンの分泌量が減少することで、気分が落ち込むと言われています。同時に、メラトニンが過剰に分泌され、昼間に眠気や倦怠感も感じやすくなるといわれています。さらに、太陽の光をあまり浴びないと体内時計を乱すことがあって、活動と休息のリズムが乱れ、うつのような症状が出る可能性もあります。

利用者の方の実体験

うつと寒さの関係性、という一般論も大切ですが、具体的な対策を考えるためにはそれぞれが寒さにどのような影響を受けてしまいがちか、という現在の問題点を探る必要があります。

そこでダイアログの前半では、ビューズのメンバーの皆様に「寒い日ならではのいい行動/よくない行動は？」というテーマで話し合っていただきました。

良い行動：温かい飲み物・食べ物を摂る、長風呂をする(お風呂に入る)、服のコーデを楽しめる、首をしっかりあたためる
スタッフコメント：体を温めるための行動や、寒い時期を楽しむための意見が多くあがりました。ここから派生して、「温かい食べ物で何が好きか？」と話題が広がり、笑顔で話す様子も見られました。

良くない行動：布団から出ない、外に出ない(運動をする機会の減少、外の活動の時間が短くなる)、こたつで寝てのどが痛くなる、家事がおっくう、食べ過ぎてしまう
スタッフコメント：「～しない」と「～しすぎてしまう」の両方があがりました。メンバー同士で共通している内容が多く、自分だけではなかったと安心されている方が多くいらっしゃいました。

他にも様々な意見が上がりましたが、共通しているのは、運動不足を引き起こすことです。外出が減ることで友人や家族との交流が少なくなり、孤独を感じる時間が増える場合もあります。だからこそ、寒い季節には自分の気分や健康状態を保つために、自分の気分に敏感になることが、普段以上に大切になります。

そこでさらに後半で、「良い行動を継続する/良くない行動を減らしていくためにできることは？」というテーマで話し合っていただきました。

あがったアイディア：暖房のタイマーをつける、体を動かす(家でヨガをする、ヨガのオンラインコースのバリエーションを増やす、朝起きて身体を伸ばす、歩く時のストレッチ、家で筋トレをする、8870歩/１日チャレンジ開催、自宅でできる運動)、白湯を飲む(毎朝起床後、夜寝る前)、図書館でレシピ本を探す、寒さ対策を万全にして外に出る…
スタッフコメント：こうしてあがったアイディアを見ると、「寒いから」と諦めるのではなくできる工夫は色々あるのだと気づきます。ビューズの身体系プログラムでは、室内外で出来る運動を紹介したりヨガの機会も提供しているので、ここで上がったアイディアの実践を後押しできればと思います。

実際に話し合いでは、寒さへの対策が意外と出来ていないことに気づかれる方が多くいらっしゃいました。

具体的にできることを日々の生活の中にこつこつと積み重ねることで、体調不良にならず寒い季節を乗り切っていきましょう。