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周囲/当事者の方へ

2024/06/28

強迫性障害の人にかける言葉

強迫性障害は、自分自身では抑えることができない反復的な思考や行動に囚われることが特徴の精神疾患です例えば、手が汚れているという考えに囚われ、何度も何度も手を洗うのをやめられない状態や、電気のスイッチが正しく切られているかを何度も確認してしまう状態がこれに該当します。これらの行動がやめられないことは、しばしば本人に大きなストレスをもたらし、日常生活に支障を来します。

強迫性障害への理解と適切な支援方法を学ぶことは、患者さん自身だけでなく、家族や友人、職場の同僚など周囲の人々にとっても重要です。適切な理解とサポートがあれば、強迫性障害を持つ人々の生活の質は大きく改善される可能性があります。この記事を通じて、強迫性障害についての基本的な知識と、それに直面する人々をどのように支援できるかについて詳しく見ていきましょう。

強迫性障害とは

強迫性障害とは

強迫性障害は、根拠のない恐怖や不安が強迫観念として頭から離れず、それを和らげようとするために特定の行動を繰り返す精神疾患です。全世界的に見ると、強迫性障害の有病率は一般人口の約1.1%から1.8%で、地域によっては最大で2.3%に達することも報告されています。日本では、約2%の人々が何らかの形で強迫性障害を経験していると推定されており、これは全国で約250万人に相当します。以下に、強迫性障害の主なタイプとそれに伴う具体例を紹介します。

洗浄強迫

汚染や感染に対する過度の恐れが特徴で、例えば、手が少しでも汚れていると感じると、手を洗う行為を何度も繰り返します。また、家に入るたびに服を何度も洗うことで、一時的な安心を得ようとする場合があります。

加害強迫

 他人に危害を加えてしまうかもしれないという根拠のない恐怖に悩まされます。例えば、キッチンの包丁を見るたびに、誰かを傷つけるかもしれないという思いが頭をよぎり、包丁を隠す行動を繰り返します。

確認強迫

安全を確保するため、鍵がかかっているか、ガスの元栓が閉まっているかなどを何度も確認します。例えば、外出するたびにドアの鍵を何度も確認し、それでも不安が拭えず、何度も家に戻って確認することがあります。

儀式強迫

特定の順序で行動を行わなければならないと感じ、例えば、何か新しい作業を始める前に同じフレーズを3回唱えないと、その日一日がうまくいかないと感じるなどの行動を繰り返します。

これらの行動は、強迫性障害を持つ人々にとって大きな苦痛となり、日常生活に深刻な支障をきたします。次の章では、このような状況にどのように対応することが適切かを見ていきます。

強迫性障害の人への適切な言葉かけ

強迫性障害の人への適切な言葉かけ

強迫性障害を持つ人へのサポートでは、感じている恐怖や不安を認めつつ、過度の共感は避けることが重要です。相手の気持ちに理解を示すのは基本的に悪いことではありませんが、強迫観念を無意識のうちに助長し、症状が悪化する原因になることもあるので注意が必要です。ご家族やご友人など、患者さんをサポートする立場にいる方が、治療に焦り過ぎず、長期にわたる支援を行うことが求められます。

親子関係での具体例

子どもが清潔に対する強迫観念に悩まされている場合、親は「今、手を洗わなくても大丈夫だよ。少しずつ手洗いの回数を減らしてみようね。一緒に他の楽しい活動を見つけよう」と声をかけることが重要です。このように、子どもの恐怖を認めつつも、新しい行動を試すことを励まし、一貫して、じっくりとサポートをすることが重要です。

夫婦関係での具体例

ある夫婦の例で、妻が鍵を閉めたかを何度も確認してしまうケースで考えます。妻が夫に対して「私、ちゃんと鍵を閉めたよね?」という確認を求めてきた場合、「1回確認したのなら、僕は大丈夫だと思うよ。このまま出かけてみようか」などと提案します。このアプローチは、妻の不安を拾いつつも、強迫行為に焦点を当てすぎず次の行動に意識を向けることを目的にしています。本来は外出して楽しむことが大切な場面なので、この後も外出を楽しむような会話ができるとよいでしょう。

このように、強迫観念に苦しんでいる様子を見ていると辛い気持ちになるかもしれません。しかし、ずっと行い続けることに理解を示すことは回復を遠ざけてしまう恐れがあります。

確認行動をすること自体を一緒、または代わりにやってほしいと言われてしまい、困る場面もあるかもしれません。具体的な状況や関係性に応じて、なるべく相手に寄り添い、かつ、回復を目指せる言葉を選ぶためにどうすれば良いかを一緒に考えてみましょう。

応じるべきでない言葉とその理由

応じるべきでない言葉とその理由

強迫性障害を持つ人が不安を感じた時、つい「大丈夫だよ」と安心させてあげたくなります。しかし、 その優しさの裏にある言葉が、実は症状を悪化させてしまうことがあるのです。

なぜ「大丈夫」という言葉は逆効果なのか?

不安な気持ちに依存させてしまう

「大丈夫」という言葉で一時的に不安が和らいでも、根本的な問題は解決しません。むしろ、不安を和らげるために「大丈夫」という言葉がもらえることを期待するようになり、 不安な気持ちに依存するようになってしまいます。

自分で問題解決する力を奪ってしまう

「大丈夫」という言葉で問題を解決してもらえると、強迫行為以外のやり方で現状に対処する方法を挑戦しなくなってしまいます。

効果的な接し方とは?

  • 共感を示しながら、自立を促す
    「不安だね。これ以上強迫行為に時間を使い過ぎないために、代わりにどんなことができそうか一緒に考えてみよう」のように、 不安に共感を示しながら、自分で解決策を見つけるよう促しましょう。
  • 具体的な提案をする
    「確認したいかもしれないけど、離れてみたら案外気にならなくなるかもしれないし、とりあえずこのまま行ってみない?」のように、 具体的な提案をすることで、自分で考え、行動する機会を与えましょう。

前章でも例に出した子どもが「この手、まだ汚れているかもしれない」と何度も手洗いを求めた場合、

  • NG:「大丈夫、きれいだよ」と繰り返し答える。
  • OK:「私はきれいだと思うけど、何が心配?本当に心配なことがおきるか確認してみようか」と提案する。

強迫性障害を持つ人の不安に対しては、 安心させることよりも、自立を促すことが大切です

専門家の介入の重要性とタイミング

専門家の介入の重要性とタイミング

強迫性障害を持つ人々に対する支援では、家族や友人の努力だけでは限界があり、時には専門家の介入が不可欠です。適切なタイミングで専門家に相談することは、症状の悪化を防ぎ、より効果的な治療計画を立てるために重要です。専門家による評価と介入は、以下のような状況で特に求められます。

  • 症状が日常生活に著しい影響を与え始めたとき – 学校や職場でのパフォーマンスが低下し、社会的な関係が悪化している場合。
  • 自己対処が困難になってきたとき – 家族の支援や個人の努力にも関わらず、不安が高まり、自己管理が困難になっている場合。
  • 既存のアプローチが効果を示さないとき – 家庭での対策や基本的な介入が効果不十分で、症状の持続または悪化が見られる場合。

これらの状況では、認知行動療法や薬物療法など、専門的な治療が必要になることが多いです。早期に医師やカウンセラーなど専門家の助けを求めることで、回復への道筋をつけやすくなります。

まとめ

強迫性障害を持つ人々への適切な対応は、彼らの日常生活の質を大きく向上させることができます。この症状を持つ人々への言葉かけは、単に安心させるだけではなく、自立を促し、自分で問題に立ち向かう力を育てることが重要です。ただし、例え周囲が適切な接し方をしても、時には本人に「気持ちに寄り添ってもらえなかった」と捉えられてしまい、対立してしまうこともあるかもしれません。そのため、家族や友人だけで対応しきれない場合には、専門家に早めに相談しましょう。これにより、症状の悪化を防ぎ、効果的な治療へとつながる道を築くことが可能になります。

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