うつ病等の気分障害は、心と体に症状が現れます。日常生活・社会生活に支障が生じ、職場を休職する理由になることもあります。休職中は多くの不安が付きまといますが、ビューズ@名駅では復職支援に力を入れておりますので、悩みを相談するなど復職までのサポートを受けることができます。支援の事例は過去にブログをまとめていますので、よろしければご参照ください。
しかし、復職はあくまでも選択肢の1つであり、「復職か退職か」を悩んでいる方も多くいらっしゃると思います。気分障害を発症する理由は様々ですが、もし職場でのストレスが原因の1つであると考えている場合、同じ環境に戻ることへの恐怖や不安を感じるかもしれません。しかし、生活費などの経済的な問題や、転職活動への不安から、復職以外の選択肢が思い浮かばず精神的に追い詰められてしまうこともあります。
「復職か退職か」というその後の人生に関わる大きな意思決定を、ビューズ@名駅でどのようにサポートしているか、事例を元に紹介します。今回はシリーズ第3弾になります。
事例③:家族や職場でのストレスに悩みながらも、周囲のために復職を焦っていた事例
今回は、母親や妻としての自分、仕事をしたい自分の葛藤の中で復職を決意された事例を紹介します。過去のブログでも、仕事と家族のバランスに悩む事例を取り上げました。復職のタイミングをじっくり考える時間が取れないまま、「家族の為」「周囲の期待に応える為」と焦ってしまうと、戻る理由を見失ってしまう事があります。
事例:40代女性、うつ病、保育士。長年、子育てのストレス、仕事上の対人関係でのストレスを抱え、心のバランスを保つことに苦労があった。発症時は子どもの進学と夫のキャリアアップが重なり、「自分がサポートしなければらならない」と考えて気持ちが追い詰められていった。職場に業務量の調整を依頼しようと思ったが、苦手な先輩がおり、伝えたくても怖いという気持ちが勝って相談ができず、体調を崩して休職に至った。
ビューズの支援:保育の仕事自体は好きで、ビューズに入所する前は「休養したら戻れる」「戻ったらなんとかやれるだろう」と安易に考えていた。復職への焦りに対し、「戻らねば」から「戻りたい」と自分の意思を尊重した決断が大切であることを支援員から伝え、ビューズの取り組みに集中する決断ができた。ビューズのプログラムを通してたくさんの人と話していく中で、 「辛い出来事や困り事は周囲に伝えても良い」と考えられるようになり、子育ての悩みについて専門の機関に相談できるようになった。自分の気持ちや体調を継続的に書くことで自分を見つめ直し、心のゆとりが生まれるに従って自分の強みを思い出せるようになってきた。すると、「戻れる場所があるのだから戻らなければ」から「職場で自分を待っていてくれる人がいるので戻りたい」と、自分の意思に沿った考え方に変化していった。復職後の働き方については、主治医・産業医の意見で最大限配慮してもらえることになり、正式な復職前のリハビリ勤務中に難しいと感じたことは業務から外してもらえた。復職後も、家庭トラブルによるストレスはあり、休職前から苦手だった先輩がいるので怖い気持ちもあったが、自分から距離をおいて心を保つようにした。しんどい時は休むことを繰り返し、自然と自分の強みを発揮できるようになってきた。今でも毎朝鏡に前でセルフチェックをして自分を見返しながら、ビューズの卒業後の支援に参加して「可能な限り甘えた環境下で働いてもいい」と認め直すように心がけている。
いかがでしたでしょうか。
今回の事例の場合、職場のサポート体制はありましたが、何よりも本人自身の考え方が変化し、自分の意思に沿った復職を決断できたことが大きかったと思います。自分の状態を受け止め、頼れるところは頼りながら自分の強みを発揮することで、職場でのストレスも下がってきたと伺っております。
今後も様々なケースをご紹介していきます。