ビューズでは、月に数回ダイアログというプログラムを行っています。
ダイアログは日本語に直すと「対話」という意味で、対話を通して他の人の意見を聞き、自分の考えの幅を広げたり、視野を広げたりすることを目指します。
利用者の皆様の様子や悩み事を踏まえてテーマを設定し、それに沿って話し合うテーマトークというやり方で実践しています。
今回は、「長期休みを乗り切るコツ」というテーマでダイアログを実施した時の内容をご紹介します。
ビューズで利用者の方からの相談に応じていると、「長期休みで調子を崩してしまう」という悩みをよく伺います。長期休みは普段のルーティンが崩れ、遅起きや昼寝などの睡眠リズム、食事の時間、さらには過ごす時の姿勢など、生活リズムが大きく変わります。出来事の良し悪しに関係なく、普段とリズムが違う生活はストレスとなるため、メンタルと体調を崩しやすくなります。
長期休みを乗り切るには、自分がどのようなストレスを受けているかに気づき、なぜ崩れやすいのか理解した上で備えられるようになることが大切です。
休日にルーティンが崩れる理由
長期休みといえば、お正月休みやゴールデンウイーク、お盆などをイメージすると思います。中には職場の規定で長期休みが設定されている方もいると思います。
人は学習した習慣に沿って行動する生き物なので、休日のリズムが極端に平日と異なることはありません。しかし、特に会社勤めや学校をイメージしていただくと分かりやすいのですが、平日はある程度予定による縛りがあります。出勤・通学時間に合わせて起きる、定刻の昼休憩に昼食、帰宅後に夕食を取るなど、予定に合わせたルーティンが組み込まれ、生活リズムが作られます。
一方、休日は意図的に予定を入れなければ縛りがありません。まず自宅で過ごした場合、通勤・通学のような移動を伴う活動予定が無くなくなるので、起床時間が乱れ活動量も減少します。ここに一人暮らしが重なると、普段会う人と接しなくなるので気分の変化が起こりにくくなります。仮に誰かと暮らしていたとしても、同居する妻、夫、子供、両親、パートナーと過ごす時間が増え、良し悪しは別として「人に合わせる時間」が増えることによるルーティンの変化は生じます。
旅行などで外出する場合でも、起床時間、活動量、接する人はいつもと変わります。その変化は非日常として楽しいものですが、いつものルーティンとは異なるので、知らないうちにストレスがかかります。そして、旅行後に疲れが出て、翌日はいつもよりゆっくりと起きます。調整しようとする体の反応が、少しずつルーティンを崩していくのです。
生活リズムと体調・メンタルの関係性
このように、縛りのない休日では、様々な理由が重なってルーティンは容易に崩れ、知らないうちにストレスがかかります。これが長期休みになれば、崩れたルーティンを戻す縛りがない日が続くため、余計に戻すのに時間がかかります。そして、乱れた生活が続くと体がだるくなってさらに活動量が減ってしまい、「こんな過ごし方をするはずではなかった」と後悔することになります。これは、決して特別なことではなく、誰もが一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
まとめると、ルーティンが乱れる→生活リズムが崩れる→活動量が減る→メンタルが下がる、という流れです。身体とメンタルはつながっており、お互いに影響を与え合うので、どちらかが悪い方向に向かえば悪循環に陥りやすくなります。
まずは普段の対策から考える
不調に陥る悪循環から抜け出すには、自分の長期休みにおける生活リズムの変化とメンタルのつながりを理解し、対策を講じる必要があります。悩んでいる利用者の皆様も、対策の必要があるという認識を持っています。それでもうまく過ごせないから悩んでいることを踏まえると、現状の対策を実際の場面でどのように応用していくかをつなげて考える必要があります。そこでダイアログの前半では、平日・休日を問わず「体調と生活リズムの為の対策」というテーマで話し合っていただき、現状の対策を共有する時間を作りました。
対策:就寝/起床のリズムを一定にする、昼寝は短めする、寝る前にスマホをいじらない、朝に白湯を飲む、長めにお風呂に入る、体の緊張を緩めるストレッチ、食事の時間を家族と相談する
スタッフコメント:こうしてみると、生活リズムの基本である睡眠、食事を揃えることや、入浴やストレッチなどの身体をケアする対策も意識できています。上記以外でも様々な対策が上がり、共有を通して幅を広げることができました。
長期休みに生じる変化を具体的に想定する
対策の幅を広げられたところで、後半は「年末年始に起こる生活の変化は?」というテーマで話し合っていただきました。ポイントは、年末年始ならではの共通点に加え、各自のリアルな生活の変化を振り返ることです。人によっての生活の違いをシェアすると、「気づいていなかったが、自分も確かにいつもと変わっている」と気づくことがあります。
年末年始で起きる生活の変化:暇な時間が増えてネガティブな考え事をしてしまう、親戚の家が寒すぎる、動く量が減る、遅い時間までダラダラ食事・呑む、寝正月を過ごしてしまう、一人の時間が減ってストレスになる、人が多い場所への外出が増える(初売りなど)
スタッフコメント:年末年始ならではのものもありますが、長期休みに共通する生活の変化も多くあがりました。日頃のルーティンとのギャップが大きく、良かれと思ってゆっくり過ごしていることがストレスになります。前半に上げた対策で乗り切れそうにも見えますが、私たちはつい「お正月だから今日はいいか」と変化をそのまま受け入れてしまいます。そして、普段の生活に戻すのもまたストレスなので、「明日から戻そう」と頭の片隅で考えながら対策の実行を先延ばしにし、休みが終わったと同時にメンタルを崩してしまう、というメカニズムがあることに共有を通して気づいていただきました。その上で、前半であげた対策をどう活用するかも話し合っていただきました。
いかがだったでしょうか?
対策が必要と頭で分かっていても、実際の場面と対応させてどのように取り入れるのかを考えるのは難しいです。長期休みに生活の変化が生じるのはやむを得ないので、ストレスを完全に取り除くのは休み明けを待つしかありません。大切なのは、ストレスをなくすことではなく、自分の長期休みにおける生活リズムの変化とメンタルの繋がりを理解し、普段との変化を少しでも小さくする対策を実践することです。
それでも、一人で考えて実践することは大変です。そこでビューズでは、セルフモニタリングというプログラムを提供しており、生活・気分・体調を記録することで自身の傾向に気づくサポートをしています。(セルフモニタリングについてはこちら:https://www.view-s.jp/support/01.html)
長期休みはまさに自分の傾向を踏まえて対策を実践する機会であり、乗り切ることが自信につながります。長期休みは体調は崩れるものだと諦めず、あがった意見から自分ならどうするかを考え、仲間と支え合いながら行動に移していく後押しでがきればと思います。
今後もダイアログで扱ったテーマの中で、皆様のお役に立てる内容を発信していきます。