「考え方の変化」と「仲間」
ビューズで得られたもっとも大きいものは、「考え方の変化」です。特に、集団認知行動療法プログラムの影響が大きかったと思います。
ビューズを利用する以前、うつ症状がでている時にはネガティブなことしか見えませんでした。本当は楽しいこともあるのに、それが全く見えないくらいに視野が狭くなっているんですよね。その頃は、そもそも「視野が狭くなっていること」にも全く気が付けませんでした。でも今は、自分で気付いて、解消できる。この視点をもっているだけで、全然違います。
また、「人と関わる仕事がしたい」と思えるようにもなったことも大きいです。ビューズを使う前は、とにかく、他人が怖かった。だから、次は人と関わらない仕事を選ぶつもりでした。しかし、ビューズのプログラムの中で、人との関わり方を見直し、卒業時にはむしろ「人と関わる仕事がしたい」と思うようになっていました。今は休みを取るやりとりなども、以前よりもスムーズに行えます。
あとはやっぱり、疾病特有の悩み相談ができる仲間が沢山できたこと。
疾病に関するの悩みは、普通の人だとなかなか話しづらいんですが、ここを利用している人同士で悩みを共有できるだけでも、気持ちが楽になりました。特にうつ病や双極性障害Ⅱ型の方に特化した施設だったのでその点も大きかったです。
状況に合わせて、工夫を重ねた就職活動
自分は、障害者としてではなく、「自分の疾病を伝えた上で、一般枠で働くこと」を選びました。
会社が、うつ病の人や双極性障害Ⅱ型の人を採用できないのは、「会社の方が、病気やその対処方法」をよく分かっていなくて、「またすぐに辞めてしまうかも…」という漠然とした不安があるからだと思います。
私は、就職活動では、履歴書には疾病のことを書かずに、面接の時に初めて病気のことを伝えました。仕事についていないこの期間は、再発予防のトレーニングをしていたんです、と。
※書類時点でオープンにするもの良いと思います。ご自身で決めるのが大事。
また、面接の時は相手の不安を解消できるように、「自分の病気の説明」「原因と対処法」「ほしい支援と頻度」、あとは「よくある質問」などをまとめたパンフレット(=自分の取扱説明書)を渡しました。面接官もそんなものを用意しているとは思っていなかったようで、ちょっとびっくりされましたね。(笑)
これをつくる時は、ビューズにいる人たちに「分かりにくいところがないか」「自分が会社の人だったら、何が知りたいか」など、フィードバックをもらいました。パンフレットまではつくらずとも、「こういうことをしてほしい、しないでほしい」ということを「相手に分かるように伝えること」は、再発防止のためには大切だと思います。あとは単純に、このような資料を作るスキルも上がりました。
それに、自分は働いていて調子が悪くなっても、いざとなったらビューズに相談できます。ビューズの卒業生のためのイベントで、働いている同士でお悩み相談などの時間を得ることもできます。
「つまずいた経験」を活かして、働く
今の仕事は、とりあえず半年の期間限定の仕事です。そして、半年働いた後にキャリアカウンセラーの受験資格がもらえます。双極性障害があっても働けるっていうのを、まずは半年、しっかり証明します。
双極性障害の経験から、「人生が全部うまくいく人なんていない」と思いました。たくさんの人が、何かにちょっとつまずいている。自分もつまずいた分、その「つらさ」が人よりも少し余分に分かります。
また、ビューズにいる間に「うつっぽい人」が何となく見分けられるようになりました。
そして、そういう人が「気合いが足りないってわけじゃない」っていうのも分かります。そういう人たちに、早い段階で、診察やこういう施設を紹介できるのは、結果的に復帰が速くなるし、企業としてもメリットがあるんじゃないのかな。
逆に、それが分かる分、就職の面接でも、「この職場、大丈夫かな」っていうのも分かります。自分が通った道だからこそ、敏感に察することができるんですよね。
資格と、この経験を活かして、そんな「つまずき」を解消できる仕事がしたいです。
きっと、イメージが変わるはず。
自分とビューズとの出会いは、地域の再就職イベントでした。
まず、「うつ病」とか言われると、暗いイメージがあるじゃないですか。
でも、ビューズの第一印象は、スタッフも施設もとにかく明るい。イメージと全然違っていい意味で、驚きますよ。
卒業した今になって思いかえすと、ここで過ごした時間は楽しかったです。
だからもし、ビューズを使おうか迷っている方がいたら、まず一度、とにかく見学に行ってみればいいのではないでしょうか。