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2024/03/22

ビューズ内イベント紹介② 春のお花見実行委員体験

ビューズでは、支援員との面談を通した課題の整理、再発予防のためのプログラム参加、利用者同士の交流など様々な体験ができますが、これらに加えて季節の行事も行っています。

この行事はスタッフが運営するのではなく、利用者の方が主催となり、スタッフと相談しながら運営していきます。一見すると学園祭のやり直しか?と思いますが、実はこのイベント参加には社会復帰に向けてのステップが多く詰まっています。

今日は、以前のブログで紹介したAさんが、参加者ではなく初めてイベントに実行委員(イベントの企画を主宰する側)として携わった時の体験を紹介します。

前回のブログはこちら:https://x.gd/B3CqW

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Aさんは、クリスマス会に参加して以降、利用者さんと関わるハードルが低くなったと感じつつ、それ以外の季節の行事でも実行委員さんを陰ながら支えていました。

ある日、スタッフからお花見の実行委員をやってみないか?と提案されました。そこで、以前から新しく入所する方のために何かできないかと考えていたので、引き受けることにしました。しかし、楽しい会にしようと思いながらも、「どうすれば良い会にできるのだろう」と徐々に不安になってきました。自分1人ではなく、複数の利用者さんと実行委員を担うという状況がまず慣れていません。昔から「相手に迷惑かも」と思うと、困ったことがあっても相談を遠慮してしまいます。また、期日が迫ってくると焦ってしまい、やらなくていいことまで手を出して空回ってしまいがちです。

Aさんの不安そうな様子を見たスタッフから、研修ゲームというプログラムに参加した時のことを振り返るように勧められました。研修ゲームは、実際の会社での業務を想定したプログラムです。実社会と同じようにリーダー役・マネージャー役を決め、与えられた課題をチームで話し合いながら解決する練習ができます。過去に参加した際、リーダーやマネージャーが何のためにいるのかや、各自が役割に分かれることで話し合いが進めやすくなることを思い出しました。実行委員を担うことが初めてであることを踏まえ、リーダーなどのまとめ役は他の方に任せ、Aさんは書記(打ち合わせしたことを議事録に残す役割)を引き受けることにしました。

その後、再びスタッフと相談し、自分が社会復帰に向けた訓練として「何のために実行委員をやるのか?」という目的を話し合いました。その中で、「相手に迷惑かも」と考える癖が、花見の打ち合わせ中に自分の意見が言えなくなる、という形で再現されることに気づきました。そこで、今回の実行委員の役割を担う中で意見を伝える練習に取り組むことを目的とし、「共感できる意見に頷いて意思表示をする」「関係性ができている利用者さんの隣で打ち合わせに参加する」といった行動を試すことにしました。

実行委員内の役割も決まった所で、過去のイベントの記録や写真を見返す機会を実行委員みんなで作りました。なんとなく雰囲気が分かってきて不安や心配が薄れてくると、不思議なことに「こうしてみたい」というアイデアが湧いてくるようになりました。企画を考えている内に「今日どうしてもこれを考えたい」と思い、時々プログラムを休んでいました。後になって、「仕事に置き換えると通常業務に加えてこのようなイベント企画(=プロジェクト)の役割を担っていくことになるので、実行委員の活動のみに没頭せず訓練プログラムにも出る必要がある」と気づきました。プログラムと実行委員の両立は大変な日もありましたが、人と話す機会があるので1人で悶々とせずに過ごせました。例えば、スポーツプログラムでみんなと公園でゲームをしたら気分が明るくなる体験をしました。その時ふと、「慣れていない利用者さんが不安から抜け出すには、この感覚を体験してもらうことが大事だ」と気づいたAさんは、他の実行委員に「花見の企画でゲームをしたい」と提案しました。共感が得られて会話も弾み、他の実行委員と話しやすくなってきました。また、最初の頃に感じていた義務感が少しずつ薄れるのを感じました。

いつの間にか、Aさんは花見に向けての準備を楽しめるようになっていました。花見で行う企画内容の告知をする声の明るさや、自然体で実行委員同士が話し合っている様子を見て、お花見は楽しい内容になっていることが他の利用者さんに伝わっていきました。

結果、イベント当日は多くの利用者さんが参加し、Aさんの提案したゲームの時間ではあちこちから笑い声が聞こえていました。終わった後の参加者アンケートでは、「実行委員が仲良さそうで、あの雰囲気なら自分もやってみたい」「企画に携わってみたい」という感想が見られました。

イベント参加前は、「相手に迷惑かも」と考える癖があったAさんですが、お花見の成功を実行委員同士で分かち合うことで、「人と関わりながら仕事をする喜びを、自分もまた感じることができるかな」という希望に感じられるようになりました。とはいえ、まだ考えの癖は完全になくなったわけではなく、自分の気持ちを言葉にすることへの苦手意識も残っています。Aさんは、次のイベントでも練習してみたいと考えています。

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いかがだったでしょうか?
イベントの準備を通して役割を担う中で、働いていた時の考え方の癖が再現されます。何のために実行委員を担うのか?という目的を明確にし、克服のためにできる行動を試すことで、成功体験につながります。また、社会復帰への自信を取り戻すためには、人と共同して成功を分かち合う体験が最も近道です。Aさんが感じた希望は、社会復帰に向けた次のステップを踏み出すエネルギーになります。

次回は、Aさんがまた別のイベントで実行委員をした時の体験を紹介します。Aさんの変化に着目してみてくださいね。

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